6299777190465681 ステロイド治療の開始前のチェック、副作用の避け方、治療中のモニタリング | 感染症・リウマチ内科のメモ

ステロイド治療において注意すべきこと

リウマチ・免疫

ステロイド治療とは、グルココルチコイド療法(以下GC)のことで、代表的な薬品には、プレドニゾロン、プレドニン、やメドロール があります。
ステロイド剤は、炎症を軽減して症状を良くしたり、異常な免疫応答を抑制してくれたりで、自己免疫性疾患の治療にはよく登場しますが、その副作用も多彩です。一般の方や、研修医などの初学者のため主な注意点はなにか?

開始前のチェック

過敏症:この薬や他の薬に対して異常な反応やアレルギー反応を起こしたことがあるかどうか
服用中の他の薬剤はなにか  一部の薬と相互作用を起こす場合がある
基礎疾患の有無 以下のような疾患に影響を与える可能性がある: 白内障/緑内障、うっ血性心不全、糖尿病、高血圧症、感染症、B型肝炎ウイルスキャリア、うつ病、骨粗鬆症、消化性潰瘍、腎臓病

適切な使用

・医師の指示に従って正確に服用してください。自己判断で増やしたり減らしたりやめたりしないこと。
・服用する薬は、種類、服用量、服用間隔、服用期間は病気の状況により異なります。
・長期間服用している場合は、突然服用を中止しないこと。ゆっくり用量を減らす必要がある。
・急に中止すると、ときに発熱、頭痛、食欲不振、脱力感、筋肉痛、関節痛、ショック等の離脱症状があらわれることがある
・食後に服用すること
・薬を飲み忘れたときは、できるだけ早く服用する。次の服用時間に近い場合は忘れた分は飲まず次の服用を行う。2回量は服用しないこと。

副作用をなるべく避ける

・定期的に受診しチェックを受ける、血液検査、または尿検査が必要になる場合がある
・薬を長期服用中の方は、他に余分なストレス(他の疾患や精神ストレスなど)が生じた場合、医師に相談してください、ストレスに合わせ薬の用量を変更する場合があります
・通常よりも多くの感染症にかかりやすくなるかもしれません。感染症にかかっている人を避け、頻回に手洗いをしましょう。発熱やかぜ症状など感染症の兆候がある場合、すぐに受診しましょう。
・治療中や治療後、のかすみ、視力の低下など生じた場合はすぐに受診しましょう。

低用量GC療法 (プレドニゾン7.5 mg/日以下の治療量)と副作用

低用量GCとの「明らかな」関連性あり
 緑内障/白内障、糖尿病/高血糖、にきび/多毛症/皮膚萎縮/紫斑
低用量GCとの関連性の可能性
 筋障害、骨粗鬆症、離脱症状/HPA系不全
 参考資料 –Semin Arthritis Rheum 1991 Aug;21(1):1

高用量GCによる追加の副作用(低用量では発生する可能性は低い)
 消化性潰瘍、膵炎、高血圧、骨壊死、脂質代謝異常、アテローム性動脈硬化、感染症、背頚部の脂肪や顔の膨満といったクッシング症候群

・低用量GCはアテローム性動脈硬化症プラーク増加や内皮機能障害とは関連しない(J Rheumatol 2007 Sep;34(9):1810
・関節リウマチ成人において、経口GCの累積用量が 800 mg を超えると、骨粗鬆症、骨折、日和見感染症のリスク増加と、累積用量が1,800 mgを超えると無菌性骨壊死、心筋梗塞、脳卒中のリスク増加と関連する可能性がある(J Rheumatol 2018 Mar;45(3):320
・GC療法、特に高用量では、関節リウマチの高齢患者において重篤な感染症のリスク増加と関連する (Ann Rheum Dis 2012 Jul;71(7):1128

EULAR(欧州リウマチ学会) の推奨

・2010年 低用量GC療法中の有害事象のモニタリングに関する推奨事項Ann Rheum Dis 2010 Nov;69(11):1913
血圧を監視、骨密度のチェック、虚血性心疾患病歴、消化性潰瘍の症状有無、治療開始時に以下:身長/体重、足首の浮腫、空腹時および随時血糖測定、電解質Na,K測定、緑内障リスク(家族歴、強度近視、糖尿病)の有無

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