このブログではかなり専門的な医師向け医療従事者向けの記事を書いていますが、外来などやっておりますと一般の方からもリウマチ診断について質問もあり、一般向けの記事もときおり書くことにします。
今回は、リウマチかもしれないと 思ったとき です
ご自身に、指などの痛みの継続があって、リウマチかも、と思われたときどうすればいいのか悩みますよね。 確かに「リウマチ疑い」のときの診療は難しいのですが、手順を踏んで考えていけば、疑わしいのかそうでないのか、わかるかもしれません。
リウマチ性の関節炎の特徴は、 ①炎症による関節症状であること、②症状が長く続くこと、③起こる場所に特徴があること、 です
① その関節の症状が 炎症によるものであるのか
関節の症状、痛みが炎症からくるのかどうかの確認が大切です。
安静時痛;安静にしていてもジンジンと内部から痛みがある、関節の腫れ;関節部分が紡錘状に腫れている、関節のこわばり感(動かし始めると硬い感じ、30分以上続く、動かしているうちにほぐれてくる)、を伴います。
逆に、非炎症性の関節痛では、運動時に痛みが強く安静にすると和らぐ ので特徴が異なります。
② 関節症状の持続は
炎症性関節炎はリウマチ以外に痛風などの病気や細菌感染による炎症など他の原因でも起こりますが、これらはいずれも急激に数日で強く起こってきますが、リウマチは通常は1-2か月以上の慢性化となります(診断基準は、6週間以上)。ですので症状が始まって例えば1週間くらいですと、他の原因での関節炎を起こしうる病気がたくさんあり、より重症でまず考えないといけない他の病気もありリウマチの診断はむしろ後回しになりがちです。 感染症関連などの他の急性関節炎もすぐに手を打たないと大変なので、症状はじまってすぐであっても放置せずに受診しましょう。 痛風や細菌感染では発熱することも多いですが、リウマチの発病時に発熱するかたは少ないです。
③ 症状のある関節の場所は
これも大切で、関節リウマチでは 手首・足首や指・足指(指先から数えて2番目と3番目の関節)を患うことが多いです。(下記、スクイーズテストも有用) 背骨(頸椎以外)や股関節などは比較的少ないとされています。また指先から1番目の関節は変形性関節症(OA)でみられることが多いです。1か所の関節のみの症状の発症の場合でもリウマチであることはありえますが、通常はあまりありません。腱鞘炎やねん挫など整形外科的病気も考慮に入ってきます。
早くからの専門医への紹介、と 診断基準の活用 を
リウマチの関節破壊は早期からあり、症状がでた時すでに患者の10%で、発病1年後には約半数の方で骨破壊(びらん)が認められるとされています。 一度破壊された関節は元には戻らないので、破壊を起こす前に効果的な治療開始が必要です。欧州リウマチ学会では発病から6か月以内に治療にてリウマチを抑え込むことを勧めています。 しかしリウマチの早期診断はよく似た類似疾患の鑑別がやや複雑で一般医では難しい場合もあります。リウマチを疑ったときは最初から専門医にみてもらう、というのも大事と思います。
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診断基準としてよく用いられるものに、米国リウマチ学会基準(1987)と米国欧州リウマチ学会基準(2010)があります 参考はこちら
スクイーズテスト(上図) Squeeze Test 手や足を包み込むように握りしめたときに痛みがでるかどうかのテスト。リウマチに罹患しやすい手指のMP関節・PIP関節の圧痛有無をみることができます。
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