6299777190465681 ステロイド依存性リウマチ性多発筋痛症 | 感染症・リウマチ内科のメモ

ステロイド依存性リウマチ性多発筋痛症

リウマチ・免疫

リウマチ性多発筋痛症(以下PMR)は高齢の方に発症しやすいリウマチ性疾患で、首から肩、上腕にかけてと臀部から大腿部にかけての筋肉痛が特徴的です。症状や検査所見もあわせて総合的にリウマチ医が判断して診断治療となりますが、似た状況で発症する疾患もあり鑑別診断が大切。治療はほぼステロイドホルモン剤にて著効するのですが、ときおり再発と再燃などでステロイド単独では治療継続が難しくなる時があります。こんな場合どうするのか?

PMR治療法の選択

・治療の中心は経口プレドニゾン療法
・最新の EULAR/ACR ガイドラインでは寛解を達成するためのプレドニンの最小有効量12.5~25 mg/日
・寛解導入治療は、疾患重症度、BMI、併存疾患に基づいて行う必要があり、体の小さい方、症状が軽い方、糖尿病がコントロールされていない方、または重大な薬物副作用のリスクがある方には、より少ない用量 (7.5~10 mg/日) が考慮される
・治療は、症状改善だけでなく、ESR および CRP レベルの改善と最終的な正常化を目標とする
・治療開始後 1~2 週間以内に改善が明らかでない場合は、プレドニンの投与量を段階的に増やし、別の診断を考慮する

再発と再燃

・患者の約2.50%が最初の1年以内に再発し、25%は約4~8年の治療が必要
・再発と再燃では、症状の再評価と代替診断のための臨床検査を検討する
・患者がまだステロイド剤を服用している場合は、投与量を 10%~20% 増加する

ステロイド節約療法

・再発した後は、メトトレキサート、アザチオプリン、インターロイキン 6 (IL-6) 受容体遮断薬などのステロイド節約療法を試みることができる

メトトレキサート

・通常、週あたり 10~15 mg の開始用量でPMR に対して最も一般的に使用される
・二重盲検ランダム化比較試験では、メトトレキサート 7.5 mg/週 の用量で投与してもステロイド節約効果はないと報告された(Ann Rheum Dis 1996; 55(4):218–223.)
・ランダム化前向き試験では、メトトレキサート10 mg/週(皮下注) の用量で有効性を失うことなく 1 年間の累積プレドニゾン用量を減らすことができたことが報告された( J Rheumatol 1996; 23(4):624–628.)

IL-6阻害薬

・期待できる
・IL-6 は PMR における疾患活動性の維持に主要な役割を果たしているため、IL-6 の遮断が治療法として検討されており、有望な結果が得られている
・持続性疾患活動性(CRP PMR-ASスコア>10)でプレドニゾン用量≧10mg/日であったランダム化された101人の患者の研究。主要な有効性エンドポイントは、24週目の時点でプレドニゾン用量<5mg/日、CRP PMR-AS<10。これは、トシリズマブ群の患者の 67.3%、プラセボ群の患者の 31.4% で達成された。
・プレドニゾン治療にもかかわらず高活動性PMR患者において、トシリズマブはプラセボと比較して、24週目の時点で疾患活動性低くプレドニゾン必要量が減少できた患者割合が有意に高かった。

トシリズマブは リウマチ性多発筋痛症 に対して保険適応はありません。

その他

・アザチオプリン: 代替案の可能性
・抗TNF 阻害剤は推奨されていない

参考文献
Cleve Clin J Med. 2020 Aug 31;87(9):549-556.
JAMA. 2022 Sep 20;328(11):1053-1062.

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